SNSで人を攻撃する心理とは|怒り・正義感・承認欲求が増幅される構造

SNSで人が誰かを攻撃してしまう心理と、怒り・正義感・承認欲求・匿名性・集団心理が増幅される構造のイメージ SNS

この記事は「SNSに使われず、SNSを使うために」シリーズの1本です。
このシリーズでは、SNSとの付き合い方を、人間の心理、SNSの仕組み、自分を守る方法、人生に活かす方法から読み解いています。

「SNS上で誹謗中傷を見たことがありますか?」

SNSでは、毎日のように誰かが批判され、炎上し、攻撃されています。

有名人、政治家、企業、インフルエンサー、一般の人。
対象はさまざまですが、一度火がつくと、たくさんの言葉が一気に集まります。

もちろん、明らかな誹謗中傷や人格攻撃は、許されるものではありません。

ただ、ここで考えたいのは、

「攻撃する人は悪い人だ」

だけで終わらせてよいのか、ということです。

人を攻撃する人を、さらに別の誰かが攻撃する。
その構造に入ってしまうと、結局同じことを繰り返してしまいます。

この記事は、SNSで誰かを攻撃する人を、さらに攻撃するための記事ではありません。

むしろ、なぜ人はSNSで攻撃的になってしまうのか。
その背景にある人間の心理と、SNSの仕組みを考えるための記事です。

SNSが人間をまったく別の生き物に変えたわけではありません。

ただ、人間の中に昔からある怒り、正義感、承認欲求、集団への欲求を、
見えやすく、速く、広く、強くした。

SNSは、人間の攻撃性を生み出したというより、人間の中にある感情を増幅する装置なのかもしれません。

SNSでの攻撃を「掛け算」で考える

SNSでの攻撃を、人間の攻撃性、正義感、承認欲求、匿名性、集団心理、SNSの拡散構造の掛け算として整理したイメージ
SNSでの攻撃は、複数の要素が掛け算のように重なることで大きくなっていきます。

SNSでの攻撃は、ひとつの原因だけで起きるものではありません。

  • 「匿名だから攻撃する」だけでもない
  • 「SNS会社が悪い」だけでもない
  • 「攻撃する人の性格が悪い」だけでもない

いくつもの要素が重なり、掛け算のように大きくなったとき、攻撃は爆発します。

かなり単純化すれば、SNSでの攻撃は次のように整理できるかもしれません。

SNSでの攻撃
= 人間にもともとある攻撃性
× 正義感による正当化
× 承認欲求による反復
× 匿名性・非対面性によるブレーキの低下
× 集団心理による強化
× SNSによる可視化・数値化・拡散
× その他の要因

もちろん、この式ですべてを説明できるわけではありません。

人によって背景は違います。
そのときのストレス、過去の経験、社会情勢、政治的な分断、経済的不安、文化、メディア環境など、ほかにも多くの要素があります。

ただ、SNSで攻撃が広がる構造をざっくり見るには、この掛け算で考えるとわかりやすくなります。

ここからは、この式の要素をひとつずつ分解していきます。

人間にもともとある攻撃性

まず、SNSでの攻撃を考える前に、人間そのものについて考える必要があります。

人が誰かを攻撃することは、SNSが生み出したものではありません。

人間は昔から、誰かを責めたり、排除したり、見下したり、罰したりしてきました。

学校でも、職場でも、地域社会でも、家庭でも。
人が集団で生きる場所には、昔から対立や攻撃がありました。

それは、人間が社会的な生き物だからでもあります。

人間は、ひとりだけで生きてきた生き物ではありません。
集団の中で食料を分け合い、危険から身を守り、子どもを育て、知識を伝えてきました。

集団の中で生きる以上、そこには立場、評価、所属、ルール、承認、秩序。
様々なものが存在しています。

だからこそ人は、自分の立場が脅かされたとき、攻撃的になることがあります。

  • 「軽く見られたくない。」
  • 「下に見られたくない。」
  • 「仲間外れにされたくない。」
  • 「自分が正しい側にいたい。」
  • 「自分の所属する集団を守りたい。」

そうした気持ちは、現代の私たちの中にもあります。

動物の世界でも、集団内の順位が食料や繁殖の機会に関わることがあります。

もちろん、人間社会はそれほど単純ではありません。
人間には言葉があり、文化があり、法律があり、倫理があります。

それでも、私たちは完全に本能から自由になったわけではありません。

  • 「自分の立場を守りたい。」
  • 「相手より優位に立ちたい。」
  • 「危険な相手を遠ざけたい。」
  • 「集団から外れたくない。」

そうした感情は、人間の深いところにあります。

だからこそ、攻撃性を単なる「悪意」だけで片づけることはできません。

攻撃には、いくつもの側面があります。

  • 自分を守るための攻撃
  • 優位に立つための攻撃
  • 集団の秩序を守るための攻撃
  • 不安やストレスをぶつけるための攻撃
  • 自分の正しさを確認するための攻撃
  • 仲間に認められるための攻撃

人は、ただ悪いから攻撃するのではありません。

  • 「自分を守りたい。」
  • 「不安を減らしたい。」
  • 「正しい側に立ちたい。」
  • 「自分の存在を認められたい。」
  • 「集団の中で安全な場所にいたい。」

そうした気持ちが、攻撃という形で出てしまうことがあります。

ここを見ないまま、SNSの攻撃だけを語ると、話が浅くなってしまいます。

SNSを理解するには、まず人間を理解する必要があるのです。

正義感は、攻撃を正当化する

SNSでの攻撃を考えるうえで、特に大きいのが正義感です。

正義感そのものは悪いものではありません。

  • 不正に怒る
  • 弱い立場の人を守ろうとする
  • おかしなことに声を上げる
  • 誰かの被害を見過ごさない

それは、とても大切な力です。

もし人間に正義感がなければ、理不尽なことがあっても、誰も声を上げなくなってしまいます。

ただし、正義感には危うさもあります。

それは、正義感がときに攻撃を正当化してしまうことです。

  • 「あの人は間違っている」
  • 「あの発言は許せない」
  • 「あの人は叩かれて当然だ」
  • 「社会のために批判しなければならない」

そう思った瞬間、人は自分の言葉がどれだけ強くなっているかに気づきにくくなります。

  • 「自分は悪口を言っているのではない。」
  • 「自分は正しいことをしている。」
  • 「間違った人を正しているだけだ。」

そう感じると、攻撃している自覚が薄れていきます。

正義感は、人を守る力にもなります。
ただ同時に、誰かを傷つける言葉を正当化する力にもなります。

ここが難しいところです。

たとえば、誰かが不適切な発言をしたとします。

それに対して、問題点を指摘することは必要かもしれません。
同じことが繰り返されないように、批判することも大切かもしれません。

でも、その批判がいつの間にか、

  • 「この人は終わっている。」
  • 「存在自体が害悪だ。」
  • 「もう社会に出てくるな。」

という人格否定に変わってしまうことがあります。

最初は問題への批判だったはずなのに、いつの間にか人そのものへの攻撃になっている。

これはSNSでよく起きることです。

大事なのは、正義感を捨てることではありません。

正義感が動いたときほど、自分の言葉が攻撃に変わっていないかを確認することです。

  • 「これは批判なのか?」
  • 「それとも、相手を傷つけたい気持ちが混ざっているのか?」
  • 「自分は本当に問題を解決したいのか?」
  • 「それとも、怒りをぶつけて気持ちよくなりたいのか?」

そう問い直すことが必要なのだと思います。

承認欲求は、攻撃を繰り返させる

次に大きいのが、承認欲求です。

人は誰かに認められたい生き物です。

  • 「自分の言葉を見てほしい。」
  • 「自分の考えに反応してほしい。」
  • 「自分の存在を知ってほしい。」
  • 「自分が正しいと認めてほしい。」

こうした気持ちは、誰にでもあります。

承認欲求そのものは悪いものではありません。

  • 人に認められたいから努力できることもある
  • 誰かに反応してもらえるから、発信を続けられることもある
  • 自分の言葉が誰かに届くことは、嬉しいものでもある

ただし、SNSではこの承認欲求が、攻撃と結びつくことがあります。

SNSでは、言葉に数字が返ってきます。

  • いいね
  • リポスト
  • コメント
  • フォロワー
  • インプレッション

これらは、自分の言葉がどれだけ反応されたかを見せてくれます。

そして、SNSでは穏やかな言葉よりも、強い言葉の方が目立つことがあります。

  • 丁寧な説明よりも、短く鋭い批判の方が広がることがある
  • 慎重な意見よりも、怒りを込めた断定の方が反応を集めることがある

すると、人は学習します。

  • 「強い言葉を使うと反応が来る。」
  • 「誰かを批判すると注目される。」
  • 「怒りを表明すると仲間が集まる。」
  • 「相手を叩くと、自分が正しい側にいるように感じられる。」

SNSでは、怒りが数字になって返ってきます。

そしてその数字が、自分の怒りが承認されたように感じさせます。

最初は、たまたま強い言葉を使っただけかもしれません。
でも、それに反応が集まる。
気持ちよくなる。
また同じような言葉を使う。
さらに反応が集まる。

こうして、攻撃は繰り返されていきます。

人は、報われた行動を繰り返します。

SNSは、その報酬をとてもわかりやすく見せてくれる場所です。

だからこそ、承認欲求は攻撃を繰り返させる要素になるのです。

怒りを投稿する

反応が返ってくる

承認されたように感じる

また怒りを投稿する

このループができると、攻撃的な言葉は習慣になっていきます。

匿名性と非対面性は、攻撃のブレーキを弱める

SNSでの攻撃を語るとき、よく出てくるのが匿名性です。

  • 匿名だから攻撃できる
  • 匿名だから無責任になる
  • 匿名だから過激な言葉を使いやすい

これは、かなり当たっていると思います。

  • 自分の名前や顔を出さなくてよい
  • 現実の人間関係にすぐには影響しない
  • 相手の反応も直接見えない
  • 集団の中に紛れることができる

そうした環境では、普段なら言わないことも言いやすくなります。

ただし、匿名性だけが原因ではありません。

実名でも、人は攻撃します。

  • 実名であっても、正義感が強く動けば攻撃的になることがある
  • 実名であっても、仲間に認められたい気持ちはある
  • 実名であっても、自分の立場を守るために誰かを責めることはある

つまり、匿名性は攻撃性のエンジンではありません。

ですが、普段なら働くブレーキを弱めてはくれます。

攻撃性のエンジンは、人間の中にあります。

  • 怒り
  • 不安
  • 正義感
  • 承認欲求
  • 集団に属したい気持ち

匿名性は、それらが外に出るときのブレーキを弱めるのです。

そして、匿名性と同じくらい重要なのが、非対面性です。

SNSでは、相手の顔が見えません。

  • 相手の表情も見えない
  • 声の震えも聞こえない
  • 沈黙もわからない
  • 傷ついた様子も見えない

目の前に人がいれば、強い言葉を言いかけても、相手の表情を見て止まれることがあります。

ですがSNSでは、相手が人間ではなく、アイコンやアカウント名として見えてしまうことがあります。

すると、相手も傷つく人間であるという感覚が薄れやすくなります。

これはとても危ういことです。

攻撃している本人にとっては、ただ画面に文字を書いているだけかもしれません。

ですが、その言葉は相手に届きます。
相手の生活に入り込みます。
相手の心を削ることがあります。

匿名性と非対面性は、攻撃を生み出す唯一の原因ではありません。

ですが、攻撃のブレーキを弱める大きな要素です。

集団心理は、攻撃を強める

SNS上で大勢のコメントや反応が一人に集中し、集団心理によって攻撃が強まるイメージ
一人ひとりにとっては小さな一言でも、受け取る側には大きな圧力として届くことがあります。

SNSの攻撃は、しばしば集団化します。

最初は、誰か一人の批判だったかもしれません。

ですが、それに反応する人が増える。
同じ怒りを持つ人が集まる。
「これは叩いていい相手だ」という空気ができる。

そうなると、攻撃は一気に強くなります。

人は、集団の中にいると、自分の言葉の重さを感じにくくなることがあります。

一人ひとりは、

  • 「少し意見を言っただけ」
  • 「一言コメントしただけ」
  • 「みんなも言っているから、自分も言っただけ」

と思っているかもしれません。

ですが、受け取る側には、それが何百、何千、何万もの言葉として届きます。

ここにSNSの怖さがあります。

  • 攻撃する側にとっては一言
  • 攻撃される側にとっては集団からの圧力

この非対称性があるのです。

さらに、人間は集団から外れることを恐れます。

みんなが怒っているときに、自分だけ違う意見を言うのは怖い

叩かれている側に立つと、自分も叩かれるかもしれない

だから、叩く側にいた方が安全に感じる

これは、かなり人間的な反応です。

昔から、人間は集団の中で生きてきました。

集団から外れることは、ただ寂しいだけではありません。
かつては、生き延びることにも関わる問題でした。

  • 食料を分け合う
  • 危険から身を守る
  • 子どもを育てる
  • 知識を伝える

そうしたことは、集団の中で行われてきました。

だからこそ、人間は集団から排除されることに敏感なのです。

現代のSNSで起きている炎上は、デジタル空間の出来事です。

ですが、その奥には、集団から外れたくない、仲間に属していたい、自分が排除される側に回りたくないという、かなり古い人間の感情があるのかもしれません。

ここで大事なのは、集団そのものを否定しないことです。

  • 集団は、人間に安心を与える
  • 仲間がいるから頑張れることもある
  • 同じ問題意識を持つ人が集まることで、社会が変わることもある

ですが、集団は攻撃も強めます。

  • みんなが怒っている
  • みんなが叩いている
  • みんなが許せないと言っている

その空気の中では、自分の言葉が強くなっていることに気づきにくくなります。

集団心理は、攻撃を強める要素です。

だからこそ、炎上を見たときほど、

  • 「これは自分の意見なのか?」
  • 「それとも、場の空気に引っ張られているのか?」

を一度考える必要があるのだと思います。

SNSは人間の攻撃性を増幅する装置である

ここまで、人間側の要素を見てきました。

  • 人間にもともとある攻撃性
  • 正義感による正当化
  • 承認欲求による反復
  • 匿名性・非対面性によるブレーキの低下
  • 集団心理による強化

では、SNSは何をしているのでしょうか。

SNSは、これらを増幅します。

SNSは、人間の攻撃性を作ったわけではありません。
ただ、それを見えやすく、速く、広く、強くしました。

まず、SNSは感情を可視化します。

  • 怒りの投稿が見える
  • 批判のコメントが見える
  • どれだけの人が怒っているのかが見える
  • 誰が誰に賛同しているのかが見える

次に、SNSは反応を数値化します。

  • いいね
  • リポスト
  • コメント
  • 表示回数

これによって、怒りや批判がどれだけ反応されたかが数字になります。

数字になると、人はそれを意識します。

「こんなに反応された」
「みんなも同じことを思っている」
「自分の意見は支持されている」

そう感じやすくなります。

そして、SNSは拡散します。

  • リポストされる
  • 引用される
  • おすすめに出る
  • トレンドに入る
  • まとめられる
  • 切り抜かれる

すると、本来なら一部の人だけが見ていた話題が、どんどん広がっていきます。

怒りは、反応を集めやすい感情です。

  • 強い言葉は目立つ
  • 対立は注目される
  • 誰かが叩かれている場面は、人の目を引く

そのため、SNSでは怒りや攻撃が広がりやすくなります。

もちろん、SNSは悪い面だけではありません。

  • 情報を得られる
  • 同じ関心を持つ人とつながれる
  • 学びのきっかけになる
  • 孤独を和らげることもある
  • 声を上げることで、誰かを助けられることもある

SNSは便利な道具です。

ですが、便利な道具であると同時に、人間の感情を増幅する装置でもあります。

だからこそ、使い方を間違えると、怒りや攻撃に巻き込まれてしまうのです。

SNSは、人間の感情をそのまま映す鏡ではありません。

反応が集まりやすい感情を、より大きく見せる拡声器でもあります。

SNS会社はなぜ攻撃を完全には止められないのか

では、SNS会社はなぜこうした攻撃を完全には止められないのでしょうか。

もちろん、何もしていないわけではありません。

  • 通報機能
  • アカウント凍結
  • 表示制限
  • 投稿削除
  • AIによる検知
  • モデレーション

さまざまな対策は行われています。

それでも、攻撃を完全になくすことは難しいのです。

理由はいくつかあります。

まず、批判と攻撃の線引きが難しいことです。

誰かの発言を批判することは、必要な場合もあります。
不正を指摘することも、社会にとって大切です。

しかし、批判が強くなりすぎると、人格攻撃や誹謗中傷に近づいていきます。

どこまでが正当な批判で、どこからが攻撃なのか

この線引きは簡単ではありません。

次に、表現の自由とのバランスがあります。

攻撃を減らそうとして投稿を制限しすぎれば、必要な批判や告発まで消えてしまうかもしれません。

一方で、自由を広く認めすぎれば、誰かを傷つける言葉が放置されてしまうかもしれません。

このバランスは、とても難しい問題です。

そしてもうひとつ、SNSの構造的な問題があります。

多くのSNSは、人が長く滞在し、たくさん反応することで成り立っています。

反応が増えるほど、広告やサービスの価値も高まりやすい。

しかし、反応を集めやすい投稿の中には、怒りや対立を生むものもあります。

つまり、SNS会社は攻撃を減らしたい立場でもあります。
ただ同時に、反応が集まる投稿によって人が滞在する仕組みの上に成り立っている面もあります。

ここに、構造的な緊張があります。

SNS会社だけを悪者にしても、問題は見えません。

ですが、SNSの収益構造や設計が、怒りを広げやすくしている面は無視できません。

ここでも大事なのは、誰かを単純に悪者にすることではなく、仕組みを見ることだと思います。

SNSごとに攻撃の形は違う

SNSといっても、すべて同じではありません。

それぞれのサービスには、違った特徴があります。

Xのような短文中心のSNSでは、短い言葉で素早く反応しやすい。
引用やリポストによって、批判が一気に広がることもあります。

Instagramでは、生活、容姿、持ち物、ライフスタイルの比較が起きやすい。
直接的な攻撃だけでなく、嫉妬や自己否定につながることもあります。

TikTokのような短尺動画のSNSでは、切り取られた場面が一気に広がることがあります。
文脈が抜け落ちたまま、印象だけで反応されることもあります。

YouTubeでは、コメント欄での攻撃だけでなく、批判動画や切り抜き動画によって、特定の人や発言が繰り返し取り上げられることがあります。

匿名掲示板やまとめサイトでは、匿名性や集団の内輪ノリによって、攻撃が固定化されることもあります。

このように、攻撃の形はSNSごとに違います。

ですが、共通しているものもあります。

  • 怒り
  • 承認
  • 集団化
  • 拡散
  • 相手の顔が見えにくいこと

どのSNSでも、人間の心理と仕組みが重なったとき、攻撃は起きやすくなります。

SNSに感情を握られすぎないために

SNSの通知や反応から距離を取り、自分の感情と時間を守る健全なSNSとの付き合い方のイメージ
SNSと健全に付き合うとは、完全に離れることではなく、自分の感情と時間を握られすぎないことです。

では、私たちはSNSとどう付き合えばよいのでしょうか?

SNSを完全にやめる必要がある、とは思いません。

SNSには良い面もたくさんあります。

  • 情報を得られる
  • 同じ関心を持つ人とつながれる
  • 学びのきっかけになる
  • 孤独を和らげることもある
  • 声を上げることで、誰かを助けられることもある

SNSそのものを悪者にする必要はありません。

大切なのは、SNSに自分の感情を握られすぎないことだと思うのです。

  • 怒りを感じたら、すぐに投稿しない
  • 正義感が強く動いたときほど、一歩引く
  • 引用で誰かを晒す前に、本当に必要か考える
  • 見ていて苦しくなる相手は、ミュートやブロックを使う
  • おすすめ欄を見すぎない
  • 数字を自分の価値と結びつけすぎない
  • 疲れたら離れる

それだけでも、かなり変わります。

特に大事なのは、

「これは、自分の人生に本当に必要な情報なのか?」

と考えることです。

SNSには、毎日たくさんの怒りが流れてきます。

ですが、そのすべてに反応する必要はありません。

世界のすべての怒りを、自分の中に入れる必要はありません。

SNSと健全に付き合うとは、SNSを完全にやめることではなく、
SNSに、自分の感情と時間を握られすぎないことだと思います。

これからのSNSと、私たちに必要な力

これからSNSは、さらに複雑になっていくと思います。

AIによって、文章、画像、動画は今より簡単に作れるようになります。

  • 本物のように見える偽情報も増えるかもしれない
  • 切り抜きや編集によって、文脈が失われたまま拡散されることもある
  • 怒りを引き出すための投稿も、より巧妙になるかもしれない

一方で、SNS側の対策も進むはずです。

  • AIによる検知
  • 通報システムの改善
  • 表示制限
  • 法規制
  • ユーザー側のリテラシー向上

それでも、SNSから攻撃性が完全になくなるとは考えにくいです。

なぜなら、SNSの問題はSNSだけの問題ではないからです。

そこには、人間の心理があります。

  • 怒りたい気持ち
  • 認められたい気持ち
  • 正しい側にいたい気持ち
  • 集団から外れたくない気持ち
  • 誰かを下げることで、自分を守りたい気持ち

それらは、簡単には消えません。

だからこそ、これから必要になるのは、SNSを使う技術だけではないと思います。

  • 自分の感情に気づく力
  • 怒りにすぐ反応しない力
  • 集団の空気から一歩離れる力
  • 情報を確認する力
  • 何に反応しないかを選ぶ力

これからのSNSでは、何を見るかだけでなく、何に反応しないかも大切になるのです。

まとめ:SNSを知ることは、人間を知ることでもある

SNSでの攻撃を単純化すると下記のように整理できるかもしれません。

SNSでの攻撃
= 人間にもともとある攻撃性
× 正義感による正当化
× 承認欲求による反復
× 匿名性・非対面性によるブレーキの低下
× 集団心理による強化
× SNSによる可視化・数値化・拡散
× その他の要因

これを紐解くと、「一部の悪い人」だけの問題ではなく、
人間の心理と、SNSの仕組みが絡み合った問題なのです。

だからこそ、誰かを攻撃する人をさらに攻撃するのではなく、まずは構造を見ることが大切だと思います。

  • 構造が見えれば、自分が怒りに飲まれそうなときにも、一歩引けるかもしれない
  • 誰かの怒りに巻き込まれそうなときにも、距離を取れるかもしれない

SNSは便利な道具です。
ですが、自分の感情を預けすぎると、いつの間にか誰かを傷つけたり、自分自身が消耗したりする場所にもなります。

人間には本能があります。

  • 怒ることもある
  • 認められたいこともある
  • 集団から外れたくないこともある
  • 自分が正しいと思いたいこともある

それ自体は、悪いことではありません。

その気持ちに蓋をする必要はないと思います。

ですが、自分の本能に気づかないまま反応し続けると、誰かを傷つけたり、自分自身を苦しめたりすることがあります。

だからこそ、知ることが大切なのだと思います。

知ることで、自分の反応に少し距離を取れる。
その距離こそが、人間の知性なのかもしれません。

SNSに飲み込まれるのではなく、距離を取りながら使う。

そのためにも、まずは「なぜ人はSNSで攻撃的になるのか」を知ることが大切なのだと思います。


SNSシリーズ:SNSに使われず、SNSを使うために

このシリーズでは、SNSとの付き合い方を4つの視点から考えています。

▶︎なぜ人はSNSで誰かを攻撃してしまうのか(この記事)

▶︎なぜSNSは怒りを増幅するのか

SNSはなぜ怒りを増幅するのか|アルゴリズムとエンゲージメントの構造
SNSはなぜ怒りを増幅するのか。怒りが投稿され、反応を集め、数字になり、アルゴリズムに拾われ、集団化していく流れを、エンゲージメントやレイジベイトの構造から読み解きます。

▶︎SNSで消耗しないための距離の取り方

SNSで疲れる原因と対策|消耗しないための距離の取り方
SNSで疲れるのは意志が弱いからではありません。怒り、比較、承認欲求、情報過多で消耗する構造を整理し、通知・おすすめ欄・ミュート・数字との距離など、感情と時間を守る方法を解説します。

▶︎SNSを有効活用する方法

SNSを有効活用する方法|学び・発信・つながりを人生に活かす
SNSは消耗する場所にもなりますが、使い方次第で学び・発信・つながり・記録・機会を広げる道具にもなります。SNSに使われず、自分の人生に活かすための考え方を整理します。

▶ シリーズ一覧は【まとめ】SNSに使われず、SNSを使うために

【まとめ】SNSに使われず、SNSを使うために|SNSとの付き合い方を構造から考える
SNSでの攻撃、怒りの増幅、SNS疲れ、自分の人生に活かす方法まで。人間の心理、SNSの仕組み、自分を守る距離感、前向きな活用法を4つの記事で整理します。

人間理解を深めるための参考書籍

この記事では、SNSでの攻撃を「人間の心理」と「SNSの増幅構造」から考えました。

人間の判断や直感、認知バイアスについてさらに知りたい方には、以下の本も参考になります。

※一部リンクにはアフィリエイトを利用しています。
 あなたの負担が増えることはありません。
 いただいた収益は、ブログ運営や書籍購入などの学習費に充てています。

ファスト&スロー|ダニエル・カーネマン

人間の判断や直感、認知バイアスを理解するための定番書です。

SNSでは、私たちは誰かの発言を一瞬で判断し、「この人は悪い」「許せない」と感じてしまうことがあります。

『ファスト&スロー』を読むと、人間がいつも冷静に考えているわけではなく、直感や印象に大きく影響される存在であることが見えてきます。

ただし、一部の研究には再現性をめぐる議論もあります。
絶対的な答えとしてではなく、人間の思考のクセを知るための大きな地図として読むのがおすすめです。

この記事で紹介した本以外にも、Veritas Labで参考にしている本をテーマ別にまとめています。

[Veritas Labの本棚を見る]

タイトルとURLをコピーしました