このシリーズは「どうすれば自分らしく働けるか」をテーマに、働き方を人間の心理、会社の仕組み、自分の人生への活かし方から考えるシリーズです。
シリーズ全体はこちら:
どうすれば自分らしく働けるか
「はぁ・・・」
毎日働いている。
- 朝起きて、会社に行く
- 会議に出る
- 資料を作る
- メールを返す
- 上司や同僚とやり取りする
- 目標に向かって、日々の仕事をこなしていく
「生活は成り立ってるし、給料もある。」
「周りから見たら、普通の社会人としてやっていけてる。」
ですが、ふとした瞬間に、こう感じることがあるかもしれません。
「これは本当に、自分が望んだ働き方なのだろうか?」
- 仕事が極端に嫌いなわけではない
- 今すぐ辞めたいわけでもない
- 誰かに強く不満があるわけでもない
「でも、どこか自分の人生を生きていないような気がする。」
- 会社のために働いている
- 役割をこなしている
- 期待に応えている
- 評価されるように頑張っている
その中で、自分が何を大切にしたいのかが見えにくくなる。
この感覚は、単なる甘えやわがままなのでしょうか?
私は、そうとは限らないと思っています。
自分らしく働けないと感じる背景には、会社の仕組みだけでなく、人間の心理も関係しています。
- 人は安定を求める
- 評価されたいと思う
- 周囲から外れることを恐れる
- 失敗を避けたいと思う
- 肩書きや年収を、自分の価値と結びつけてしまうこともある
そして、自分が何を大切にしたいのかが見えないと、会社や社会が用意した価値観に沿って働き続けてしまうことがあります。
このシリーズでは、「どうしたら自分らしく働けるか」をテーマに、働き方を複数の視点から考えていきます。
今回はその入口として、なぜ人は自分らしく働けないと感じるのかを、人間の心理から見ていきます。
自分らしく働くとは何か
まず、「自分らしく働く」とは何でしょうか?
この言葉は、少し誤解されやすい言葉だと思います。
自分らしく働くと聞くと、次のような働き方を想像するかもしれません。
- 好きなことだけを仕事にする
- 会社を辞める
- フリーランスになる
- 起業する
- 自由な時間に働く
- ストレスなく働く
- 毎日楽しく働く
もちろん、そうした働き方が合う人もいると思います。
ですが、自分らしく働くことは、必ずしも会社を辞めることではありません。
- 大企業で働いていても、自分らしく働くことはできる
- 安定した会社に長く勤めることが、自分らしい働き方になる人もいる
- 会社の仕事に深くコミットすることが、人生の喜びになる人もいる
逆に、フリーランスになっても、起業しても、自由な働き方をしていても、自分らしく働けていないと感じることはあります。
つまり、自分らしく働くかどうかは、働き方の形だけでは決まりません。
- 会社員か?
- フリーランスか?
- 起業家か?
- 大企業か?
- ベンチャーか?
- 副業をしているか?
- リモートワークか?
そうした形も大切ですが、それだけではありません。
私が考える「自分らしく働く」とは、自分の価値観や納得感と、働き方がある程度つながっている状態です。
もう少し分解すると、次のように考えられます。
自分らしく働く感覚
= 価値観
× 裁量
× 強み
× 意味
× 関係性
× 生活
× その他の要因
もちろん、これは厳密な数式ではありません。
すべての要素が完璧に満たされなければ、自分らしく働けないという意味でもありません。
現実の仕事で、すべてが理想通りになることはほとんどありません。
- 価値観に合っていても、忙しい時期はある
- 裁量があっても、苦手な仕事をすることはある
- 強みを活かせていても、人間関係に悩むことはある
- 意味を感じていても、生活とのバランスが崩れることもある
ですが、どれか一つが大きく欠けると、「自分らしく働けている」という感覚は弱くなりやすいのです。
- 価値観に合っていない
- 裁量がない
- 強みを活かせない
- 意味が見えない
- 人間関係の中で尊重されていない
- 生活が壊れている
こうした状態が重なると、人は「自分らしく働けていない」と感じやすくなります。
「なんとなく自分らしく働けていない」という違和感も、分解してみると構造が見えてきます。
ここからは、この要素をひとつずつ見ていきます。
1. 価値観が合わないと、自分の人生を生きていないように感じる

自分らしく働くために、まず大切なのは価値観です。
価値観とは、自分が何を大切にしたいのかということです。
働くうえで大切にしたいものは、人によって違います。
- 安定した生活
- 高い収入
- 成長できる環境
- 人の役に立つ実感
- 家族との時間
- 自由な働き方
- 専門性を高めること
- 社会に意味のある仕事
- 仲間と一緒に働くこと
- 大きな組織で成果を出すこと
- 自分の名前で仕事をすること
どれが正解という話ではありません。
- 安定を大切にする人
- 挑戦を大切にする人
- お金を大切にする人
- 時間の自由を大切にする人
- 社会貢献を大切にする人
どれも、その人にとって大切なら、立派な価値観です。
問題は、自分が本当は大切にしていないものを、大切にしているふりをして働き続けることです。
たとえば、
- 本当は家族との時間を大切にしたいのに、周囲の評価を気にして長時間労働を続ける
- 本当は専門性を深めたいのに、会社の都合で興味のない仕事ばかり引き受ける
- 本当は自由に考えたいのに、上司や組織の空気に合わせ続ける
- 本当は安定を大切にしたいのに、「挑戦しないといけない」という空気に焦ってしまう
こうしたズレが続くと、仕事をしていても、自分の人生を生きている感覚が薄くなります。
価値観が合っていない働き方は、すぐに壊れるわけではありません。
むしろ、多くの場合はしばらく続けられます。
- 給料もある
- 役割もある
- 周囲からも普通に見える
- 自分でも「これでいいのかもしれない」と思える
ですが、心のどこかに違和感が残る。
その違和感は、自分の価値観とのズレを知らせているのかもしれません。
2. 裁量がないと、自分で働いている感覚が薄くなる
自分らしく働くためには、裁量も大切です。
裁量とは、自分で考え、選び、工夫できる余地のことです。
仕事には、当然ながらルールがあります。
- 会社の方針
- 上司の判断
- 顧客の要望
- 予算や納期
- 法律や社内規程
完全に自由に働けるわけではありません。
ですが、その中でも、自分で考えられる余地があるかどうかは大きいのです。
- やり方を工夫できる
- 自分の意見を言える
- 判断に参加できる
- 仕事の進め方を調整できる
- 自分なりに改善できる
- 納得して動ける
こうした余地があると、人は「自分で働いている」という感覚を持ちやすくなります。
一方で、裁量がほとんどないと、自分らしく働く感覚は薄くなります。
- 何をするか決められない
- どう進めるかも決められない
- 意見を言っても反映されない
- ただ指示をこなすだけになる
- 会社や上司の都合で動かされる
- 自分の判断が入り込む余地がない
こうなると、忙しさ以上に苦しくなることがあります。
人は、ただ仕事量が多いから疲れるわけではありません。
- 自分で選べていない
- 自分で工夫できない
- 自分の意思が反映されない
その感覚が続くと、自分が仕事をしているというより、仕事に動かされているように感じやすくなります。
ベンチャー企業で、ものすごく忙しく働いていても、自分で選び、工夫し、意味を感じていれば、自分らしく働けていると感じる人もいます。
逆に、労働時間がそれほど長くなくても、裁量がなく、ただ指示をこなすだけなら、自分らしさを感じにくいこともあります。
つまり、自分らしく働けるかどうかは、忙しさだけでは決まりません。
「自分で働いている感覚があるか?」
ここがかなり大きいのだと思います。
3. 強みを活かせないと、努力しても消耗しやすい
自分らしく働くためには、強みを活かせているかも重要です。
強みとは、特別な才能だけを指すわけではありません。
- 人より少し楽にできること
- 自然と考えてしまうこと
- 周囲からよく頼まれること
- やっていて時間を忘れやすいこと
- 努力が成果につながりやすいこと
- 人に喜ばれやすいこと
そうしたものも、強みです。
もちろん、仕事では苦手なこともしなければなりません。
好きなことだけをやっていればよいわけではありません。
ですが、自分の強みがほとんど活かされない働き方は、長期的には苦しくなりやすいのです。
たとえば、
- 人と深く話すのが得意な人が、ずっと機械的な処理だけを求められる
- 構造を考えるのが得意な人が、ひたすら指示通りの作業だけを求められる
- 丁寧に考えることが得意な人が、常にスピードだけを求められる
- 創造することが好きな人が、前例通りに進めることだけを求められる
こうした状態が続くと、努力しているのに報われにくくなります。
もちろん、苦手なことを伸ばすことも大切です。
ですが、人は自分の強みをまったく使えない環境では、エネルギーを消耗しやすい。
自分らしく働くとは、苦手を避け続けることではありません。
ですが、自分の持ち味がまったく出せない働き方では、自分らしさを感じにくくなるのだと思います。
4. 意味が見えないと、仕事はただの作業になる
仕事には、意味も必要です。
ここでいう意味とは、立派な使命感だけを指すわけではありません。
社会を変えるような大きな仕事でなければならない、という話でもありません。
- 自分の仕事が、何につながっているのか?
- 誰の役に立っているのか?
- なぜこの仕事をする必要があるのか?
- 自分の働きが、どこに届いているのか?
それが少しでも見えると、仕事には意味が生まれます。
逆に、意味が見えないと、仕事はただの作業になります。
- 毎日資料を作る
- 会議に出る
- 数字を追う
- 報告する
- 承認を取る
- メールを返す
それ自体は仕事として必要かもしれません。
ですが、その仕事が何につながっているのかが見えないと、人は空っぽになりやすいのです。
「これは何のためにやっているのだろう?」
そう感じることが増える。
人は、きつい仕事でも意味が見えると踏ん張れることがあります。
- 顧客の役に立っている
- 誰かの生活を支えている
- 社会に必要なものを作っている
- チームの成果につながっている
- 自分の成長につながっている
そうした意味が見えると、多少大変でも納得できることがあります。
一方で、そこまで忙しくなくても、意味が見えない仕事は人を消耗させます。
- 自分の仕事が何につながっているのかわからない
- 数字だけを追っている
- 誰のためなのかわからない
- やってもやらなくても同じように感じる
こうなると、自分らしく働いている感覚は薄くなります。
意味は、仕事を自分の人生とつなぐ橋のようなものです。
その橋が見えなくなると、仕事は自分の人生から切り離された作業になってしまいます。
5. 関係性が悪いと、自分らしさは出しにくい
自分らしく働くためには、人との関係も大切です。
仕事は、ほとんどの場合、ひとりでは完結しません。
- 上司がいる
- 同僚がいる
- 部下がいる
- 顧客がいる
- 取引先がいる
- 他部署の人がいる
人との関係の中で、仕事は進んでいきます。
だからこそ、関係性が悪いと、自分らしさは出しにくくなります。
- 意見を言うと否定される
- 失敗を責められる
- 相談しにくい
- 常に監視されているように感じる
- 役割や数字だけで見られる
- 人間として尊重されていないように感じる
こうした環境では、自分の考えや強みを出すことが難しくなります。
人は、役割として見られるだけではなく、ひとりの人間として尊重されたい生き物です。
もちろん、会社では役割があります。
- 上司と部下という関係もある
- 評価する側とされる側という関係もある
- 成果を求められる場面もある
ですが、その中でも、人として尊重されているかどうかは大きいのです。
- 話を聞いてもらえる
- 意見を出せる
- 困ったときに相談できる
- 存在を軽く扱われない
- 失敗しても人格まで否定されない
- 成果だけでなく、プロセスも見てもらえる
こうした関係性があると、人は自分を出しやすくなります。
逆に、関係性が壊れていると、どれだけ仕事内容が合っていても苦しくなります。
自分らしく働くためには、仕事の内容だけでなく、誰とどのような関係の中で働くのかも重要なのです。
6. 生活が壊れると、どれだけ好きな仕事でも続かない

最後に、生活です。
これはとても現実的な要素です。
どれだけ価値観に合っていても、どれだけ意味を感じていても、生活が壊れる働き方は長く続きません。
- 睡眠が足りない
- 体調が悪い
- 家族との時間が取れない
- 休む余裕がない
- 趣味や運動の時間がない
- 常に仕事のことを考えている
- 心が休まらない
こうした状態が続くと、人は少しずつ削られていきます。
仕事が好きでも、限界はあります。
- やりがいがあっても、体力には限界がある
- 意味を感じていても、睡眠不足は積み重なる
- 成長していても、心の余白がなくなれば苦しくなる
生活は、他の要素を支える土台です。
価値観も、裁量も、強みも、意味も、関係性も、生活が大きく崩れると支えきれません。
自分らしく働くとは、ただ仕事で輝くことではありません。
自分の心身や暮らしを壊さない形で働くことも含まれます。
人生は仕事だけでできているわけではありません。
- 生活がある
- 身体がある
- 心がある
- 家族や友人がいる
- 休む時間がある
- 何もしない時間もある
その土台を失ってまで働き続けると、いつか自分らしさどころではなくなってしまいます。
では、なぜこれらは満たされにくいのか

ここまで、自分らしく働くための要素を見てきました。
- 価値観
- 裁量
- 強み
- 意味
- 関係性
- 生活
これらがある程度つながっていると、人は自分らしく働けていると感じやすくなります。
では、なぜそれが難しいのでしょうか。
「なぜ、自分の価値観に合わない働き方を続けてしまうのでしょうか?」
「なぜ、裁量がない仕事に苦しみながらも抜け出せないのでしょうか?」
「なぜ、強みを活かせていないとわかっていても、そのまま働き続けてしまうのでしょうか?」
「なぜ、意味が見えない仕事を続けてしまうのでしょうか?」
「なぜ、生活が壊れそうになっても我慢してしまうのでしょうか?」
そこには、いくつかの心理があります。
1. 安定を失う不安が、価値観を見えにくくする
まず大きいのは、安定を失う不安です。
安定は大切です。
- 収入がある
- 住む場所がある
- 生活費を払える
- 社会保険がある
- 社会的信用がある
- 家族を安心させられる
これらは、人生の土台です。
そのため、安定を求めることは悪いことではありません。
むしろ、とても自然なことです。
ですが、安定への不安が強くなりすぎると、自分の価値観が見えにくくなることがあります。
「本当は別の仕事に興味があるのに、収入が下がるのが怖い。」
「本当は今の働き方に違和感があるのに、会社を離れるのが怖い。」
「本当は挑戦したいことがあるのに、失敗したときの生活が不安。」
こうして、安定を守るために、自分の気持ちを後回しにする。
それ自体が悪いわけではありません。
生活を守ることは大切です。
現実的な判断も必要です。
ただ、安定だけを基準にし続けると、自分が何を大切にしたいのかが少しずつ見えにくくなります。
安定は人生を支える土台です。
ですが、安定だけで働き方を選び続けると、自分の気持ちが置き去りになることがあります。
2. 会社の評価が、自分の価値のように見えてしまう
次に、評価です。
会社では評価されます。
- 成果を出したか?
- 目標を達成したか?
- 上司にどう見られているか?
- 昇進できるか?
- 給料が上がるか?
- 期待されているか?
こうした評価は、会社で働く以上、避けて通れません。
評価されることは嬉しいことです。
- 自分の努力が認められる
- 成果が形になる
- 周囲から期待される
- 役割が広がる
それは大きな喜びになります。
ですが、会社の評価が、自分の価値そのもののように見えてしまうことがあります。
- 評価が高いと、自分には価値があるように感じる
- 評価が低いと、自分という人間まで否定されたように感じる
本当は、会社の評価は仕事上の一側面にすぎません。
ある会社の、ある部署の、ある上司の、ある評価制度の中で見た結果です。
それはあなたのすべてではありません。
それでも会社の評価は日常的に目に入ります。
それが積み重なると、やがて会社の評価と自分の価値が結びつきやすくなります。
すると、自分らしく働くことよりも、評価されることを優先してしまうことがあります。
「本当は違和感があるのに、評価されたいから合わせる。」
「本当は別の道に興味があるのに、今の会社で評価を落としたくない。」
「本当は自分の強みを活かしたいのに、評価される仕事を選んでしまう。」
こうして、評価が自分の働き方を決めるようになる。
会社の評価は大切です。
ですが、会社の評価は、あなたという人間全体の価値ではありません。
ここを分けて考えることが、自分らしく働くうえでは大切です。
3. 肩書きや年収は、わかりやすいからこそ強い
肩書きや年収も、人を縛ることがあります。
- どこの会社で働いているか?
- どんな役職についているか?
- 年収はいくらか?
- どんな肩書きがあるか?
これらは、とてもわかりやすい指標です。
- 人に説明しやすい
- 比較しやすい
- 社会的にも評価されやすい
だからこそ、強いのです。
- 有名企業に勤めている
- 役職がある
- 年収が高い
- 専門職として見られる
- 大きな仕事をしている
こうしたものは、自信につながることもあります。
それ自体は悪いことではありません。
問題は、肩書きや年収が、自分の価値そのものに見えてしまうことです。
「肩書きがあるから、自分には価値がある。」
「年収が高いから、自分は成功している。」
「有名企業にいるから、自分は大丈夫。」
「逆に、それがなくなると、自分には何も残らない気がする。」
こうなると、自分らしく働くことが難しくなります。
なぜなら、働き方を選ぶ基準が、自分の価値観ではなく、他人に説明しやすい指標になってしまうからです。
肩書きや年収は、社会に説明しやすいものです。
ですが、説明しやすいものが、自分にとって一番大切なものとは限りません。
- 本当に大切なのは、その肩書きの中で何をしているのか?
- その収入を得るために、何を差し出しているのか?
- その働き方が、自分の人生と合っているのか?
そこまで見ないと、自分らしく働けているかはわかりません。
4. 失敗への恐怖が、選び直す力を弱める
人は失敗を恐れます。
これは自然なことです。
「転職して失敗したらどうしよう。」
「収入が下がったらどうしよう。」
「今より悪い環境になったらどうしよう。」
「周囲にどう思われるだろう。」
「自分には通用しないかもしれない。」
「今さら変えるには遅いかもしれない。」
こうした不安があると、人は現状維持を選びやすくなります。
現状維持は、安全に見えます。
- 今の会社にいれば、少なくとも生活は続く
- 今の仕事を続ければ、ある程度は予測できる
- 不満はあるけれど、未知のリスクよりはましに見える
これは合理的な面もあります。
何でも勢いで変えればよいわけではありません。
安易な転職や独立が、必ず良い結果になるわけでもありません。
ですが、変えることだけがリスクではありません。
変えないことにもリスクがあります。
- 違和感を無視し続けるリスク
- 強みを使わないまま時間が過ぎるリスク
- 価値観に合わない働き方に慣れてしまうリスク
- 自分の可能性を試さないまま、諦めてしまうリスク
もちろん、すぐに会社を辞めるべきだという話ではありません。
大切なのは、変えることも、変えないことも、どちらも自分の選択として見直すことです。
失敗を恐れる気持ちは自然です。
ですが、その恐怖だけで働き方を決め続けると、自分らしさは見えにくくなります。
5. 周囲の期待が、自分の選択を他人のものにする
人は、自分ひとりで働き方を選んでいるようでいて、実は多くの期待に影響されています。
- 親の期待
- 家族の期待
- 友人との比較
- 会社の空気
- 社会の常識
- 世間体
- 「普通はこうするもの」という感覚
こうしたものは、意外と強い力を持っています。
「安定した会社に入るべき。」
「転職は慎重にすべき。」
「年収は高い方がよい。」
「役職がある方がよい。」
「大企業の方が安心。」
「正社員でいるべき。」
「好きなことを仕事にするのは甘い。」
「一度入った会社では頑張るべき。」
こうした価値観は、すべてが間違っているわけではありません。
- 安定は大切
- 年収も大切
- 責任を持って働くことも大切
しかし、それが自分の価値観なのか、周囲から受け取った価値観なのかは、分けて考える必要があります。
自分で選んでいるつもりでも、実は誰かに説明しやすい選択をしているだけかもしれません。
- 親に安心してもらえる選択
- 友人にすごいと思われる選択
- 社会的に失敗に見えない選択
- 会社から評価されやすい選択
それらを選ぶこと自体が悪いわけではありません。
ですが、自分の気持ちを置き去りにしたまま選び続けると、いつかこう感じることがあります。
「これは本当に、自分が望んだ働き方なのだろうか。」
自分らしく働くためには、周囲の期待をすべて捨てる必要はありません。
ですが、周囲の期待と自分の価値観を混同しないことは大切です。
6. 違和感は、自分らしく働くための入口かもしれない
自分らしく働けていないと感じるとき、多くの人はその違和感を消そうとします。
「もっと頑張ればいい。」
「考えすぎない方がいい。」
「みんな働いているのだから、自分も我慢すべき。」
「今の環境に感謝すべき。」
「自分が弱いだけだ。」
そうやって、自分の違和感を押し込めてしまうのです。
もちろん、すべての違和感にすぐ従えばよいわけではありません。
- 一時的な疲れのこともある
- 環境ではなく、自分のコンディションの問題かもしれない
- 時間が経てば解消する悩みもある
ですが、何度も同じ違和感が出てくるなら、それは何かを教えているのかもしれません。
「価値観が合っていないのかもしれない。」
「裁量が足りないのかもしれない。」
「強みを活かせていないのかもしれない。」
「意味が見えなくなっているのかもしれない。」
「関係性の中で尊重されていないのかもしれない。」
「生活が壊れ始めているのかもしれない。」
違和感は、すぐに消すべきものではありません。
自分の価値観を知るための入口になることがあります。
大切なのは、違和感を言葉にすることです。
「何に疲れているのか?」
「何に納得できていないのか?」
「何を大切にしたいのか?」
「どんな瞬間に、自分らしく働けていると感じるのか?」
「逆に、どんな瞬間に自分を失っていると感じるのか?」
こうした問いを持つことで、自分らしく働くための手がかりが少しずつ見えてきます。
自分らしく働くためには、まず何に縛られているかを知る
自分らしく働けないと感じる背景には、いくつもの要素があります。
「自分の価値観と働き方が合っていない。」
「裁量がない。」
「強みを活かせていない。」
「仕事の意味が見えない。」
「関係性の中で尊重されていない。」
「生活が壊れ始めている。」
そして、それらを変えにくくしている心理もあります。
- 安定を失う不安
- 会社の評価への依存
- 肩書きや年収との結びつき
- 失敗への恐怖
- 周囲の期待
これらが重なると、人は自分らしく働けていないと感じても、なかなか動けなくなります。
それは、意志が弱いからではありません。
人間として自然な心理が働いているからです。
だからこそ、まず必要なのは、自分を責めることではありません。
自分が何に影響されているのかを知ることです。
「何を大切にしたいのか?」
「何が満たされていないのか?」
「何を恐れているのか?」
「何に縛られているのか?」
そこが見えてくると、働き方を少しずつ自分の手に取り戻せるようになります。
ただし、自分らしく働けない理由は、個人の心理だけではありません。
会社という仕組みも、大きく関わっています。
- 会社の目的
- 役割
- 分業
- 評価制度
- 数字
- 配置
そうした仕組みの中で、人はときに、自分らしさを見失いやすくなります。
次の記事では、なぜ会社では自分らしさが見えにくくなるのかを、会社という仕組みの側から考えていきます。
まとめ
自分らしく働くとは、好きなことだけを仕事にすることではありません。
- 会社を辞めることでもない
- 自由に働くことだけでもない
自分の価値観に合い、ある程度の裁量があり、自分の強みを使え、仕事の意味を感じられ、人との関係の中で尊重され、生活とのバランスも大きく崩れていない。
そうした要素がある程度つながっているとき、人は自分らしく働けていると感じやすくなります。
この記事では、それを次のような構造として考えました。
自分らしく働く感覚
= 価値観
× 裁量
× 強み
× 意味
× 関係性
× 生活
× その他の要因
これは厳密な数式ではありません。
ですが、自分らしく働けないという違和感を分解するための見取り図になります。
自分らしく働けていないと感じるとき、そこには何かが欠けているのかもしれません。
- 価値観
- 裁量
- 強み
- 意味
- 関係性
- 生活
そして、それを満たしにくくしている心理もあります。
- 安定を失う不安
- 評価されたい気持ち
- 肩書きや年収との結びつき
- 失敗への恐怖
- 周囲の期待
これらはどれも、人間として自然な感情です。
つまり、自分らしく働けていないと感じることを、すぐに甘えや弱さだと決めつける必要はありません。
大切なのは、自分が何に影響されているのかを知ることです。
「自分は何を大切にしたいのか?」
「どこに違和感があるのか?」
「何が満たされていないのか?」
「何を恐れているのか?」
そこを見ていくことが、自分らしく働くための第一歩になるのだと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
次に読むなら
この記事では、「自分らしく働けない」と感じる背景を、人間の心理から考えました。
自分らしく働く感覚は、価値観、裁量、強み、意味、関係性、生活など、複数の要素が重なって生まれるものだと考えました。
一方で、自分らしく働けない理由は、個人の心理だけではありません。
- 会社には会社の目的
- 役割
- 分業
- 評価制度
- 数字
- 配置
そうした仕組みの中で、人はときに、自分の価値観や強みや生活よりも、会社の役割や評価に合わせて働くことになります。
次の記事では、なぜ会社では自分らしさが見えにくくなるのかを、会社という仕組みの側から考えていきます。

シリーズのまとめはこちらから
▶︎【まとめ】どうすれば自分らしく働けるか

参考書籍
この記事では、自分らしく働く感覚を、価値観、裁量、強み、意味、関係性、生活という要素から考えました。
さらに深く考えたい方には、以下の本も参考になります。
※一部リンクにはアフィリエイトを利用しています。
あなたの負担が増えることはありません。
いただいた収益は、ブログ運営や書籍購入などの学習費に充てています。
モチベーション3.0|ダニエル・ピンク
自分らしく働くことを考えるうえで、かなり参考になる一冊です。
この本では、人は報酬や罰だけで動くのではなく、自律性、熟達、目的によって内側から動機づけられると整理されています。
この記事で書いた「裁量」「強み」「意味」という要素と近く、自分がどんなときに前向きに働けるのかを考える手がかりになります。
LIFE DESIGN|ビル・バーネット、デイヴ・エヴァンス
働き方や人生を、一度きりの正解探しではなく、少しずつ試しながら設計していくための本です。
自分らしく働くことは、いきなり完璧な答えを見つけることではありません。
自分に合う働き方を仮説として考え、小さく試しながら、自分の価値観や納得感を確かめていく。
そうした考え方を学びたい方に向いています。
あなたのパラシュートは何色?|リチャード N.ボウルズ
自分の強み、興味、働き方の条件を整理したい方に参考になるキャリア探索の本です。
自分らしく働くためには、ただ求人を見るだけでなく、自分が何を大切にしたいのか、どんな環境で力を発揮しやすいのかを知る必要があります。
そうした自己理解を深めるための手がかりになります。
この記事で紹介した本以外にも、Veritas Labで参考にしている本をテーマ別にまとめています。

